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童話作家・九十九耕一のブログ
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花ウサギ

 山道を歩いているときに、耳にスミレの花をはさんだ、茶色いウサギを見たことがあります。「おしゃれなウサギかな?」と思ったのですが、そうではありません。
 野山の動植物に詳しい友だちに話したところ、「それは花ウサギだよ」と教えてくれました。見た目はウサギですが、なんと植物なのだと言うではありませんか。
「耳に見えるのは葉っぱ。頭や胴体に見える部分は球根で、手足は根っこなんだよ」
 友だちはそう説明してくれましたが、すぐには信じられませんでした。
「だって、動いていたよ。ピョンピョンはねて、やぶの中に逃げていったんだ」
 私の言葉に、友だちはうなずきます。
「それが花ウサギの最大の特徴でね。自分で動いて、移動するんだよ。居心地のよさそうなところを見つけると、穴を掘って、落ち着くのさ」
 そんな不思議な植物、今まで聞いたことがありません。しかも、驚くべき特徴は、まだありました。草や葉っぱを食べると言うのです。
「……やっぱり、ウサギなんじゃないの?」
「一種の擬態だね。ほら、ウサギの姿をしていれば、動いていても、葉っぱを食べても、怪しまれないだろ?」
 なんだか、わかるような、わからないような……。「食べる」というのも、植物らしくないし……。
「正確に言うと、養分をとっているんだ。ほら、ハエトリ草とか、モウセンゴケとかと同じ」
 なるほど。そういう植物もあることはありますね。
「スミレの群生地を見つけた人が、そこでサンドイッチを食べていたら、レタスだけが抜き取られた、なんて話を聞いたことがあるよ。スミレじゃなくて、花ウサギの群生地だったんだね」
 レタスだけなくなるなんて、さぞやびっくりしたことでしょう。
「植物園にも植えるんだけど、しょっちゅう脱走されちゃうんだよね。走るとウサギ並みに速いから、なかなか捕まえられない。でも、最近の研究でね、子守歌を歌うとおとなしくなることがわかったんだ」
 聞けば聞くほど、不思議と言うか、愛らしいと言うか。
 今度、山でおしゃれなウサギを見かけたら、子守歌を歌ってみようと思います。



ご注意  このお話の著作権は著者・九十九耕一にあります。

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ストーリーゲート
私も執筆しています。
コルクンの本棚
プロフィール
HN:
九十九耕一
年齢:
46
性別:
男性
誕生日:
1970/10/10
職業:
童話作家
自己紹介:
童話を書くかたわら、「つくも堂まめ本舗」として豆本も作っています。
創作のこと、豆本のこと、コルク人形「コルクン族」のことなどを、こちらに書いていこうと思っています。
ブログタイトルは「どんぐりも背くらべ」。ことわざ「どんぐりの背比べ」は、なんだかあまりいい意味ではありませんが、「の」を「も」に変えたら、すごく活発で、チャレンジ精神にあふれた感じになりました。どんぐりは、元気なほうがいいですよね。
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